海洋深層水に塩分はある?脱塩の仕組み・安全性・食塩相当量を解説

「海洋深層水って海水なんだから、しょっぱいんじゃないの?」「塩分制限中だけど飲んでも大丈夫?」——海洋深層水という言葉を見たときに、まず気になるのが塩分のことではないでしょうか。海水が原料と聞くと、飲み水として日常的に取り入れていいのか、判断に迷う方は少なくありません。

結論からお伝えすると、市販されている飲用の海洋深層水は、逆浸透膜などによる脱塩処理を経て、食品衛生法に基づく清涼飲料水の規格に適合した飲料水として流通しています。原水には海水と同程度の塩分が含まれていますが、製品化の過程で塩分はしっかり取り除かれており、しょっぱさを感じる状態では販売されていません。

この記事では、海洋深層水の原水に含まれる塩分の正体、脱塩処理の仕組み、市販品の食塩相当量、高血圧や塩分制限中の方の考え方、さらに海洋深層水から作られる「塩」までを、公的機関や自治体の情報をもとに順を追って解説します。

【結論】市販の海洋深層水飲料は脱塩処理済み|塩分を過度に心配する必要はない

まず結論からお伝えします。海洋深層水の原水は、表層海水とほぼ同じおおむね3.4%前後の塩分濃度を持ちますが、これは飲料水としてそのまま販売されているわけではありません。市販されている海洋深層水飲料は、逆浸透膜などの技術で塩分を除去する脱塩処理を経て、食品衛生法に基づく清涼飲料水の成分規格に適合した飲料水として流通しています。

そのため、市販品の食塩相当量は一般的なミネラルウォーターと同程度の水準に抑えられており、「海水だからしょっぱい」「塩分が多そう」という印象を持つ必要はありません。実際の食塩相当量はラベルで確認できる商品が多いため、気になる方は購入前に成分表示を確認するのがおすすめです。

なお、厳格な塩分制限を医師から指示されている方や、特定の持病で塩分量を細かく管理している方は、どのような飲料水であってもラベルを確認し、必要に応じてかかりつけ医に相談したうえで取り入れることをおすすめします。

海洋深層水の原水に含まれる塩分とは

海洋深層水は「水深200m以深の海水」のことなので、原水の段階では当然ながら塩分を含んでいます。脱塩処理を理解するために、まずは原水の塩分について整理しておきます。

海水の塩分濃度はおおむね3.4%前後

海水の塩分濃度は、世界的に見るとおおむね3.4%前後で、1Lあたり約34gの塩分が含まれている計算になります。海洋深層水も海水であるため、原水の塩分濃度はこの範囲に収まります。

ただし、表層水と異なるのは、海洋深層水は外部の影響を受けにくい層にあるため、塩分濃度や水質が年間を通じて安定している点です。気候や地形による変動が小さく、品質を均一に保ちやすい原料であることが、飲料用の海洋深層水の特徴のひとつになっています。

出典:海洋深層水利用学会

原水のままでは飲料として流通できない

海水と同程度の塩分濃度の水をそのまま飲むことはできません。日常的に大量の塩分を摂ることは健康面で適切ではないため、海洋深層水を飲料として商品化するには、必ず塩分を取り除く工程が必要になります。

この「塩分を除去する工程」が脱塩処理で、市販されている海洋深層水飲料はすべてこの工程を経たうえで、食品衛生法に基づく清涼飲料水の成分規格に適合した状態で流通しています。

脱塩処理の仕組み|どうやって塩分を除去するのか

海洋深層水から塩分を取り除く方法は、大きく分けて2種類あります。仕組みを知っておくと、商品の背景もより理解しやすくなります。

逆浸透膜法(RO膜法)|飲料水製造で最も一般的な方法

逆浸透膜法は、水分子だけを通し、塩分などのイオンを通さない特殊な膜(半透膜)を使う方法です。海水側に高い圧力をかけることで、水分子だけが膜を通り抜けて反対側に移動し、塩分が取り除かれた淡水と、塩分が濃縮された水(濃縮水)に分離されます。

高い脱塩率で塩分をほぼ完全に除去できる点がメリットで、海洋深層水を飲料として商品化する工程では、この方法が広く採用されています。一方で、脱塩の過程ではミネラル分も同時に除去されるため、ミネラルバランスを整える必要がある場合は、後工程でブレンドが行われることもあります。

出典:入善町「海洋深層水の脱塩について」

電気透析法|塩分だけを選択的に除去する方法

電気透析法は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に並べ、電流を流すことで、ナトリウムイオンや塩化物イオンといった塩分の成分だけを選択的に分離する方法です。

この方法では、脱塩水だけでなくミネラルの濃縮水や塩分の濃縮水を取り出すこともできるため、海洋深層水から「塩」を作る工程ではこちらの方法が使われることが多いとされています。塩分を除去しつつ、必要なミネラルを残したい場合に適した手法です。

市販の海洋深層水飲料の食塩相当量|数値で見る目安

脱塩処理を経た市販の海洋深層水飲料には、どのくらいの食塩相当量が残っているのでしょうか。具体的な数値で見ておくと、日々の食生活のなかでの位置づけがイメージしやすくなります。

「あなたのからだに近い水」の食塩相当量

「あなたのからだに近い水」の食塩相当量は、100mlあたり0.02gです。ナトリウムは100mlあたり6.70mgで、これを食塩相当量に換算すると0.02gとなります。

500mlボトル1本に換算すると、食塩相当量はおおむね0.1g程度です。これは、一般的なミネラルウォーターと同程度の水準で、しょっぱさを感じるような量ではありません。

厚生労働省の食塩摂取目標量との対比

食塩相当量0.1gという数値が、日々の食生活のなかでどのくらいの位置づけになるのかを、公的な基準と照らし合わせてみます。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人の1日あたりの食塩摂取の目標量を、男性7.5g未満・女性6.5g未満としています。500mlボトル1本(食塩相当量約0.1g)を飲んだ場合の食塩相当量は、男性の目標量に対して約1.3%、女性の目標量に対して約1.5%にあたります。

通常の食生活の範囲で水分補給として取り入れる分には、食塩相当量への影響は限定的な水準にとどまります。

ただし、1日の食塩摂取量の大部分は食事から摂る塩分が占めるため、塩分管理を意識する場合は、まず食事の調味料や加工食品の塩分量から見直すのが基本になります。

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

高血圧や塩分制限中の方へ|海洋深層水との付き合い方

塩分を意識して食生活を管理されている方や、医師から塩分制限を指示されている方にとって、海洋深層水を取り入れてよいかどうかは大きな関心事になります。ここでは、判断するうえでの考え方を整理します。

まずは食事からの塩分摂取量を確認するのが基本

前のセクションで触れたとおり、1日の食塩摂取量の大部分は食事から摂る塩分が占めます。漬物、味噌汁、加工食品、調味料などが主な塩分源となるため、塩分管理を行う際は、まず食事内容の見直しが基本になります。

市販の海洋深層水飲料の食塩相当量は、500mlボトル1本でおおむね0.1g程度にとどまるため、通常の飲用範囲で食塩摂取量に与える影響は小さい水準といえます。

厳格な塩分制限がある場合はかかりつけ医に相談を

高血圧症で医師から具体的な塩分制限の指示を受けている方や、腎臓の機能に関する持病で塩分管理が必要な方は、飲料水を含めたすべての食品・飲料のラベルを確認することが大切です。

本記事は一般的な情報の整理を目的としており、個別の体調や持病に対する判断を行うものではありません。塩分制限の細かい数値管理が必要な方は、自己判断せず、かかりつけ医や管理栄養士に相談したうえで取り入れることをおすすめします。

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「あなたのからだに近い水」の製造工程|取水から充填まで

海洋深層水飲料の安全性を確認するうえで、製造工程がどのように行われているかを知っておくと判断材料になります。「あなたのからだに近い水」を例に、取水からボトル充填までの一連の工程をご紹介します。

9段階の一貫製造工程

「あなたのからだに近い水」は、伊豆赤沢沖5km・水深800mから24時間体制で約1,000トン/日の海洋深層水を汲み上げ、自社工場内で次の9段階の工程を一貫して行っています。

  1. 取水:水深800mから海洋深層水を汲み上げる
  2. 給水:原水をフィルタリングして送水する
  3. 脱塩:逆浸透膜により塩分を除去する
  4. 液処理:ブレンドおよび0.22µmミクロフィルターでの濾過除菌(非加熱処理)
  5. ブロー成形:ペットボトルを成形する
  6. ボトル洗浄:薬剤を使わず、海洋深層水を加熱して洗浄する
  7. 充填:脱塩・濾過処理済みの水をボトルに充填する
  8. 包装:キャップ・ラベル・梱包を行う
  9. 品質管理:規格適合の最終確認を行う

認証と検査体制

製造工場はISO22000:2018およびFSSC22000 Ver.6の食品安全マネジメントシステム認証を取得・維持しています。これらは原料の管理から製造工程、出荷後の追跡までを含めた安全管理が、第三者により確認されている目安となります。

また、原水のPFAS(有機フッ素化合物)外部検査と放射能検査を実施しており、いずれも検査基準値を下回る結果が確認されています。検査結果は公式サイトで公開しているため、安全性に関する情報を確認したうえで選んでいただける体制を整えています。

海洋深層水から作られる「塩」の特徴

ここまでは飲料水としての海洋深層水と塩分の関係を整理してきましたが、海洋深層水は塩そのものとしても活用されています。「海洋深層水の塩」がどのようなものかを知っておくと、海洋深層水の理解がさらに広がります。

一般的な精製塩との違い|ミネラルバランスが生む味わい

一般的に流通している精製塩は、塩化ナトリウムを99%以上の純度に精製したものが中心で、ナトリウム以外のミネラルはほとんど取り除かれています。

一方、海洋深層水から作られる塩は、原料の海洋深層水に含まれるマグネシウム・カルシウム・カリウムなどのミネラルが残されている点が特徴です。これらのミネラルが、まろやかさや甘み、旨みといった味わいに寄与するとされています。塩おむすび、和食、肉料理の仕上げなど、素材の味を引き立てる用途で活用されています。

日本各地で生産される海洋深層水の塩

国内では、海洋深層水を取水できる地域でそれぞれ独自の塩づくりが行われています。代表的な産地としては、高知県室戸市、石川県能登地域、新潟県佐渡、富山県滑川市、三重県尾鷲市などが挙げられます。

それぞれの地域で、天日塩(太陽と風で結晶化)、平釜塩(低温でじっくり煮詰める)、電気透析法による濃縮を活用した塩づくりなど、土地の気候や設備に合わせた製法が用いられています。各地域の自治体や関連施設が公開している情報からも、地域ごとの特色を知ることができます。

出典:高知県「海洋深層水」

海洋深層水の塩分に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、海洋深層水の塩分について寄せられやすい質問をまとめました。気になる項目から読み進めてください。

Q1. 海洋深層水はしょっぱくないのですか?

A. 市販の海洋深層水飲料は、逆浸透膜などによる脱塩処理を経たうえで、食品衛生法に基づく清涼飲料水の規格に適合した飲料水として販売されています。原水には海水と同程度の塩分が含まれていますが、製品化の過程で塩分が取り除かれているため、しょっぱさを感じるような状態では流通していません。むしろ硬度の低い軟水タイプはまろやかな飲み口になっています。

Q2. 高血圧で塩分制限中ですが、海洋深層水を飲んでも大丈夫ですか?

A. 市販の海洋深層水飲料の食塩相当量は、500mlボトル1本でおおむね0.1g程度が目安で、これは厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の食塩摂取目標量(男性7.5g未満・女性6.5g未満)に対して約1.3〜1.5%にあたります。通常の飲用範囲で食塩摂取量に与える影響は小さい水準ですが、医師から具体的な塩分制限の指示を受けている方は、念のためかかりつけ医にご相談ください。

Q3. 脱塩処理でミネラルも一緒に失われないのですか?

A. 逆浸透膜法で脱塩を行う場合、塩分と同時にミネラル分もほぼ除去されます。そのため、飲料水として商品化する際には、脱塩水に海洋深層水由来のミネラルを再調整(ブレンド)する工程が含まれることが一般的です。電気透析法であれば塩分だけを選択的に除去できるため、ミネラルを残したまま脱塩することも可能です。商品の成分表示で、どのようなミネラルが含まれているかを確認できます。

Q4. 海洋深層水から作られる「塩」と普通の塩は何が違いますか?

A. 一般的な精製塩は塩化ナトリウムを99%以上の純度に精製したもので、ミネラルはほぼ取り除かれています。海洋深層水から作られる塩は、原料の海洋深層水に含まれるマグネシウム・カルシウム・カリウムなどのミネラルが残されている点が特徴です。まろやかさや甘み、旨みといった味わいに寄与するとされています。本記事の「海洋深層水から作られる『塩』の特徴」セクションでも詳しく解説しています。

まとめ|海洋深層水の塩分は脱塩処理で取り除かれ、飲料として安全に流通している

海洋深層水の原水には、海水と同程度のおおむね3.4%前後の塩分が含まれていますが、市販の飲料水は逆浸透膜や電気透析などの脱塩処理を経て、食品衛生法に基づく清涼飲料水の規格に適合した状態で流通しています。市販品の食塩相当量は500mlボトル1本でおおむね0.1g程度で、厚生労働省の食塩摂取目標量と比べても、日常の水分補給で気になる水準ではありません。

ただし、医師から塩分制限を指示されている方や、特定の持病で塩分管理が必要な方は、ラベルの食塩相当量を確認し、必要に応じてかかりつけ医に相談したうえで取り入れることが大切です。商品を選ぶときは、製造工程や品質管理の認証情報が公開されている商品を選ぶと、安心して日常に取り入れやすくなります。

「あなたのからだに近い水」は、伊豆赤沢沖5km・水深800mから取水した海洋深層水を、逆浸透膜による脱塩処理を経て、食塩相当量0.02g(100mlあたり)の軟水として仕上げています。取水から充填まで自社工場で一貫製造し、ISO22000:2018およびFSSC22000 Ver.6の認証も取得・維持しています。

海洋深層水そのものについてもっと詳しく知りたい方は、「海洋深層水とは?水深200m以深の特徴・成分・選び方を解説」もあわせてご覧ください。

▶ 関連記事:海洋深層水とは?水深200m以深の特徴・成分・選び方を解説

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