シリカ水は効果なし?「意味がない」と言われる理由と科学的根拠の真実

「シリカ水を試してみたいけれど、本当に効果があるのか怪しい」「広告で見るほどの根拠はあるのか」——SNSや健康系メディアで頻繁に取り上げられる一方で、その効果に懐疑的な声も少なくありません。

結論からお伝えすると、シリカ水の効果は「ない」のではなく、「現時点で科学的に十分実証されていない」というのが正確な表現です。この2つは似ているようで、まったく違うことを意味します。

この記事では、国民生活センター・消費者庁・厚生労働省の公的見解をもとに、シリカ水が「効果なし」と言われる5つの理由を整理し、その上で水を選ぶときの合理的な判断軸を提示します。広告の宣伝文句に流されず、自分の物差しで判断したい方のための1本です。

【結論】シリカ水の効果は「ない」のではなく「十分に実証されていない」

結論を先にまとめておきます。

「効果がない」と「効果が実証されていない」は、似て非なる表現です。前者は「飲んでも何も起こらない」という意味、後者は「効果があるとも言い切れないし、ないとも言い切れない、判断材料が足りない」という意味です。シリカ水について語るときに正確なのは、後者のほうです。

シリカ(ケイ素)は、人体にも微量ながら存在し、骨の形成などに関与しているとされる元素です。市販の飲料水・水道水・多くの食品にもごく普通に含まれています。

ただし、「シリカ水を飲むことで、具体的にどのような効果が得られるか」を裏づける十分な研究は、現時点で揃っていません。国民生活センターは2022年12月の報告書のなかで、ケイ素について次のように述べています。

現時点では一日当たりに摂取が必要なケイ素の量は明確にはなっておらず、美容や健康増進などに対する具体的な有効性については、必ずしも明らかにはなっていません。

出典:国民生活センター「シリカやケイ素を摂取できるとうたった飲料、健康食品等に関する調査」(2022年12月7日)

つまり、「シリカ水は効果がある」と断言する広告にも、「シリカ水は完全に効果がない」と切り捨てる主張にも、どちらにも十分な裏づけはないというのが、いまの科学的な立ち位置です。

では、なぜ多くの人が「シリカ水は効果がない」「意味がない」と感じるのでしょうか。次の章で、その理由を5つに分けて整理します。

「シリカ水は効果がない」と言われる5つの理由

ここからは、シリカ水に対する懐疑的な見方の根拠を、公的情報とともに体系的に確認していきます。事実ベースで整理することで、自分にとっての判断材料が見えやすくなります。

①科学的エビデンスが不十分だから

最も根本的な理由がこれです。

厚生労働省が5年ごとに策定している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、私たち日本人が健康を保つために必要な栄養素の摂取基準を定めた公式ガイドラインです。エネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル類など、健康維持に必要と判断される成分について、推奨量や目安量、耐容上限量が示されています。

ところが、このガイドラインのミネラル項目に、ケイ素は掲載されていません。1日の推奨摂取量も、目安量も、耐容上限量も設定されていないということです。

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

国民生活センターも、ケイ素の有効性について「信頼できる十分な情報は見当たらない」とする情報を紹介しています。これは「効果がない」と判定されたという意味ではなく、「効果があるとも、ないとも言えるだけの研究データが揃っていない」という意味です。

健康食品のなかには、ある成分が「必須ミネラル」として認定され、1日の推奨摂取量まで定められているものもあります。シリカは、そのレベルにまだ達していない、というのが現在の科学的な立ち位置だと理解しておくとよいでしょう。

②過大な広告表現への消費者庁の措置命令があったから

シリカ水の評判に大きな影響を与えた出来事が、2022年6月にありました。

消費者庁は、シリカ(ケイ素)を含む食品を販売する事業者に対し、景品表示法に基づく措置命令を行いました。商品の表示について「合理的な根拠なくさまざまな効果を広告した」ことが理由です。事業者には、表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出が求められましたが、期間内に提出されませんでした。

出典:消費者庁「沖縄特産販売株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2022年6月1日)

これは、シリカ水という商品カテゴリ全体が問題視されたわけではありません。あくまで、ある特定の事業者の広告表現に問題があった、という処分です。

ただし、ニュースとしてこの事例が広く報じられたことで、「シリカ系の商品=怪しいのでは」というイメージが消費者の間に広がる一因にはなりました。「効果がないと言われる」背景には、こうした行政処分の歴史も含まれています。

③シリカ含有量の表示と実態が異なる商品が存在するから

国民生活センターの2022年12月の調査では、もうひとつ重要な指摘がありました。

ペットボトル入り飲料水・濃縮液・生成器・健康食品の20銘柄を分析した結果、ケイ素の含有濃度が表示されていた濃度より大幅に低い銘柄が複数見つかったのです。一部の濃縮液では、ケイ素濃度とシリカ濃度の関係が分子量的に成立しない数値が表示されているケースもありました。

そもそも、「シリカ水」という呼び方には、法律上の定義が定められていません。シリカ(ケイ素)が一定量含まれていれば「シリカ水」と名乗ることが可能で、含有量の下限も統一された基準もない、というのが現状です。

こうした状況では、「広告で見たような含有量が、実際には入っていなかった」という事態も起こりえます。「効果を感じないから効果がない」のではなく、そもそも期待していた量のシリカが入っていなかった可能性もあるわけです。

④水道水や普通の食事でも十分にシリカは摂れるから

意外に思われるかもしれませんが、シリカ(ケイ素)は、特別な「シリカ水」を買わなくても、日常的に摂取できている成分です。

ケイ素は、市販の飲料水、水道水、多くの食品(穀類、イモ類、海藻類など)に普通に含まれています。私たちは、普段の食生活のなかで意識せずに摂取しているのです。

国民生活センターの調査でも、ケイ素について「市販の飲料水や水道水をはじめ、多くの食品にも含まれている元素で、普段の食生活で意識せずに摂取しています」と明記されています。各自治体の保健所も同様に、「通常の食事等からの摂取で不足することはないと考えられる」という旨の情報提供を行っています。

これは、シリカ水が「無意味」「飲んではいけない」という意味ではありません。「高額なシリカ水を購入しないと、シリカが摂取できない」というわけではない、ということです。シリカを補うことだけが目的なら、特別な商品を買わなくても、日々の水道水と食事で十分まかなえる、と考えるのが自然でしょう。

⑤「シリカの効果」と「水を飲む習慣の効果」が混同されているから

ここが、本記事で最もお伝えしたいポイントです。

シリカ水を飲み始めて「なんとなく調子が良くなった」「体が軽い気がする」と感じる方は少なくありません。これ自体は、ご本人の感覚として尊重されるべき体験です。ただし、その変化が「シリカという成分の効果」によるものなのか、それとも「意識的に水を飲むようになった習慣の効果」なのかは、本来は分けて考える必要があります。

この点について、現代の日本人の多くは慢性的な水分不足の傾向にあります。厚生労働省が後援する「健康のため水を飲もう」推進運動では、成人が1日に失う水分量はおよそ2.5リットルで、そのうち食事や代謝でまかなえるのは1.3リットル程度、残り約1.2リットルは飲み水で補う必要があるとされています。

出典:厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動

水分が不足した状態が続くと、熱中症や脳梗塞、心筋梗塞などの重大な健康障害のリスク要因になるとも指摘されています。逆に、こまめに水を飲む習慣が定着していれば、それだけで体調にプラスの変化が起こる可能性は十分にあります。

つまり、シリカ水を飲み始めてからの体調変化は、シリカそのものの効果かもしれませんし、単純に水を意識して飲むようになったことの効果かもしれません。あるいは、その両方かもしれません。

ここを区別せずに「シリカ水のおかげで調子が良くなった」と語ってしまうと、実態よりもシリカ水の効果を大きく評価してしまうことになります。「シリカの効果がない」と言われるとき、実は「シリカ単体には効果がない(が、水を飲む習慣には効果がある)」という意味で語られているケースが少なくないのです。

それでもシリカ水に価値がある理由 — ミネラル補給の視点から

ここまで懐疑的な視点を整理してきましたが、これは「シリカ水を飲む意味は完全にない」と結論づけるためではありません。バランスの取れた判断のために、別の角度からも見ておきましょう。

「効果が実証されていない」と「飲む価値がない」は同じではありません。

ケイ素は、人体に存在する微量ミネラルであり、体内では作り出せないため、食事や飲み物から補う必要があります。これ自体は事実です。シリカ水は、その補給手段の一つになり得ます。

また、5つ目の理由でも触れたとおり、シリカ水を「水分補給を毎日続けるためのきっかけ」として活用することには、現実的なメリットがあります。気に入った1本があれば、自然と手が伸び、こまめな水分補給の習慣が定着しやすくなります。

大切なのは、過大な期待を持たないこと、そして「シリカの含有量だけ」を基準に水を選ばないことです。広告の効果訴求を過信するのは合理的ではありませんが、シリカ水という選択肢そのものを全否定する必要もない。これが、現状の科学的知見からくる中立的なポジションです。

では、シリカという成分の効果に頼らないとして、水を選ぶときには何を基準にすればよいのでしょうか。次の章で、より合理的な判断軸を整理します。

シリカ水に効果がないなら、何を基準に水を選ぶ?

シリカ単体の効果が科学的に十分に実証されていないなら、水を選ぶ際の基準は「シリカが何mg含まれているか」だけでは足りません。もっと総合的に水を見たほうが、合理的な選び方ができます。

ここでは、毎日の飲料水を選ぶときに確認したい4つの軸を紹介します。

①ミネラルバランス全体を見る

人体に必要とされる主要なミネラル(4大ミネラル)には、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)があります。これらは食事摂取基準に推奨量や目安量が定められており、シリカとは異なる科学的な裏づけを持つ成分です。

ミネラルバランスの整った水を選ぶというのは、特定の単一成分(シリカなど)の含有量にこだわるよりも、「複数のミネラルが体液に近いバランスで含まれているか」を重視する考え方です。シリカが多少含まれているかどうかよりも、全体としてのバランスのほうが、体への馴染みやすさには影響します。

②硬度をチェックする

水の硬度は、含まれるカルシウムとマグネシウムの量を示す指標です。

区分 硬度の目安 特徴
軟水 〜100mg/L 日本人の体質に馴染みやすい。クセがなく毎日続けやすい
中硬水 100〜300mg/L ミネラルは多めだが、体質に合わない場合がある
硬水 300mg/L以上 ミネラル含有量が多く、お腹がゆるくなることも

日本の水道水はほぼ軟水で、日本人は古くから軟水に慣れ親しんできました。毎日続けやすい・お腹に負担をかけにくいという観点では、軟水が選びやすい区分です。

③製造工程と品質管理の透明性

国民生活センターの調査で「含有量の表示と実態が異なる商品があった」と指摘されたとおり、水を選ぶときに何より大切なのは「数字を信じられる商品か」という観点です。次の3つを確認すると、信頼性のある商品かどうか判断しやすくなります。

  • 成分表示:硬度・pH値・主要ミネラルの含有量が明示されているか。
  • 採水地・製造工程:どこで採れた水を、どう加工しているのか説明があるか。
  • 品質マネジメント認証:FSSC22000、ISO22000、HACCPなど食品安全の第三者認証を取得しているか。

④参考例:ミネラルバランス軸で選んだ場合の選択肢

4つの軸を満たす水の例として、海洋深層水ブランド「あなたのからだに近い水」を紹介します。「シリカ単体ではなくミネラルバランスで選ぶ」という記事の論旨に沿った具体例として参照ください。

  • ミネラルバランス:ナトリウム・カルシウム・マグネシウム・カリウムを含む海洋深層水。海水由来のミネラルバランスを保ちつつ、脱塩により飲みやすい状態に整えています。
  • 硬度40mg/Lの軟水:日本人に馴染みやすい硬度帯。クセがなく毎日続けやすい飲み口です。
  • 採水地と取水深度:静岡県伊東市赤沢沖、水深800mから汲み上げる海洋深層水。陸上設置型取水施設としては国内最深クラスの取水深度です。
  • 品質マネジメント認証:FSSC22000・ISO22000認証工場で、取水から脱塩・濾過・充填までを自社一貫体制で管理。
  • 成分の透明性:100mlあたりの栄養成分(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム)を公開。

この例で重要なのは、「シリカが◯mg含まれているから良い水」ではなく、「ミネラルバランス・硬度・製造体制・透明性のすべてを開示している水だから判断しやすい」という選び方の視点です。シリカの効果を過信して選ぶのではなく、複数の判断軸で総合的に見比べることが、誇大広告に流されない水選びにつながります。

よくある質問(FAQ)

Q. シリカ水は詐欺・嘘なの?

A. シリカ水という商品カテゴリ全体が「詐欺」「嘘」というわけではありません。シリカ(ケイ素)は人体にも存在する微量ミネラルで、安全性の懸念も大きく報告されているわけではありません。問題視されているのは、科学的根拠が不十分なまま効果を強くうたう一部の広告表現です。2022年には消費者庁が、ケイ素関連商品の事業者に対して景品表示法に基づく措置命令を行った事例もあります。商品を選ぶときは、成分表示と広告表現のバランスを冷静にチェックしましょう。

Q. 消費者庁はシリカ水についてどう言っている?

A. 消費者庁が「シリカ水を飲むな」と直接的に発信しているわけではありません。ただし、関連機関である国民生活センターは「美容や健康増進に対する具体的な有効性は必ずしも明らかではない」「通常の食事等からの摂取で不足することはないと考えられる」という旨の情報を発信しています。また消費者庁は、合理的な根拠なくシリカ・ケイ素の効果を広告した事業者に対して、景品表示法に基づく措置命令を行った実績があります。

Q. シリカ水を買う価値はある?

A. 「特定の効果を期待して」買うことについては、現時点の科学的根拠の状況からは積極的にはおすすめしにくい立場です。ただし、「水分補給の習慣を作るきっかけとして」「ミネラルバランスの整った水を毎日飲むため」という目的であれば、十分に選択肢のひとつになります。判断のポイントは、シリカの含有量だけでなく、ミネラルバランス全体・硬度・品質管理・成分表示の透明性まで含めて、総合的に見ることです。

Q. 水道水にもシリカは含まれている?

A. はい、日本の水道水にもシリカ(ケイ素)は含まれています。水道水の原水である河川水や地下水は、土壌を通る過程でケイ素を取り込んでおり、浄水処理を経ても基本的に失われません。国民生活センターも、ケイ素について「市販の飲料水や水道水をはじめ、多くの食品にも含まれている」と明記しています。シリカ補給だけが目的なら、特別な商品を買わなくても日常的に摂取できているケースが多い、と考えてよいでしょう。

まとめ:正確な情報で判断し、自分に合った水選びを

ここまでの内容を、最後にコンパクトに振り返ります。

  • シリカ水の効果は「ない」のではなく「現時点で科学的に十分実証されていない」という段階。
  • 「怪しい」と言われる背景には、エビデンス不足、消費者庁の措置命令事例、含有量の表示問題、水道水・食事からの摂取で足りる事実、そして「水を飲む習慣の効果」との混同がある。
  • 一方で、シリカ水を全否定する必要もない。水分補給の習慣化のきっかけとして取り入れる価値はある。
  • 水を選ぶときは、シリカ単体ではなく、ミネラルバランス・硬度・製造体制・成分の透明性という4軸で総合的に判断するほうが合理的。

広告のキャッチコピーは強い言葉で書かれていますが、その裏にある根拠を一つひとつ確認していくと、自分なりの物差しが少しずつ整っていきます。

「シリカが入っているから良い水」ではなく、「自分の生活に馴染み、信頼できる根拠を持って毎日続けられる水」を選ぶ。これが、誇大な情報に振り回されないためのいちばんの近道です。

ミネラルバランスで水を選びたい方へ

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出典・参考文献